秩父・小鹿野町で120年の須崎旅館が国土交通省・観光庁に認定
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「高付加価値経営旅館等」の登録証を取得

お陰さまで、先日須崎旅館では、国土交通省・観光庁から「高付加価値経営旅館等」として認定していただくことができました。
「高付加価値経営旅館等」は、高級旅館を評価するものではありません。地域の活性化や交流人口の増加に貢献する宿として、経営の質そのものを厳しく審査され、認定する制度です。
明治から続く宿が、なぜ今“経営”に向き合ったのか
須崎旅館は、明治40年。秩父銘仙で栄えたこの地で、商人たちの往来を支える宿として誕生しました。代々、家族経営で続いてきたこの宿ですが、女将である私が携わるようになってから、ひとつの想いがありました。
「家族経営から一歩進み、持続できる企業経営へ」
そんな時に出会ったのが、この認定制度でした。感覚や経験だけに頼るのではなく、数字・仕組み・人材育成・IT活用といった“見える経営”へ。須崎旅館はその基準に挑戦し、認定を受けることができました。
「高付加価値」とは、豪華さではなく“中身”
この認定で問われるのは、例えばこんな点です。
- 健全な会計と持続可能な経営体制
- スタッフの働きがいと人材育成
- データに基づいた意思決定(IT活用)
- 地域との関わりや価値創出
つまり、「続けられる宿であるかどうか」が問われています。
変わらない想いと、変わり続ける姿勢
須崎旅館の初代が遺した言葉があります。
「尚一層勉強と親切を本意に」
この言葉を胸に、私たちは歩んできました。時代に合わせて変わることを恐れず、しかし、おもてなしの心は決して変えない。私たちのモットーは、まさに温故知新です。今回の認定はゴールではなく、次の世代へつなぐための“スタート”だと考えています。
家族の時間を取り戻す宿でありたい
須崎旅館が大切にしているのは、「誰かの大切な時間」を支えることです。
たとえば――
部屋食
周りを気にせず、赤ちゃんが泣いても大丈夫。
忙しい日々の中で、家族がゆっくり向き合える時間を。
貸切露天風呂
足の不自由なおじいちゃん・おばあちゃんとも、
安心して一緒に楽しめるひとときを。
一人旅の方へ
静かに自分と向き合う時間や、
秩父の地酒や食材をじっくり味わう贅沢を。
すべての人に「行ける旅」を
これから私たちが目指すのは、誰もが安心して旅に出られる社会――ユニバーサルツーリズムの実現です。「ここに泊まりたい」と指名していただける宿へ。そして、帰るときには家族の笑い声がひとつ増えているような宿へ。
高付加価値経営旅館としての歩みは、まだ始まったばかりです。これからも変わらぬご愛顧を賜れましたら幸いです。――須崎旅館4代目女将、須崎真紀子